会長
メッセージ

取締役会長 橋本志津

昭和47年(1972年)1月に埼玉県深谷市で創業した私たちは、高度経済成長期の真っただ中で宅地化/工業地化している埼玉を離れ、昭和50年(1975年)に新天地を求めて岩手県一関市藤沢町黄海に根を張りました。黄海(きのみ)の名は、かつてみちのくの黄金文化の一端のこの地で金が採れたからとも、黄金色の稲穂が波のように揺れる豊穣の地だったからとも言われています。
当初は豚肉生産を専らとしていましたが、良質な豚肉の生産が軌道に乗るとハム・ソーセージの加工事業を開始したり、農薬を使わない野菜栽培を始めたり、農業を軸に事業の幅を広げていきました。

この黄海の山の上に、4年間の土作りの期間を経てArk館ヶ森を創ったのは平成4年(1992年)6月のこと。

北上山系国営開発農地において、全国の範となるような藤沢町型の農業スタイルを確立すべく、創業者で夫の橋本輝雄は、独自に学び構築したファームマーケット構想(*)の具現化に乗り出したのでした。

「Ark」の名称の由来ですが、旧約聖書に出てくる「ノアの方舟」に因んでいます。よく知られたお話ですが、「THE ARK」とはその方舟を意味しています。神に命じられて巨大な方舟を作り、あらゆる植物の種と動物のつがいを乗せて大洪水の中を新天地に漂着。生き物と子孫を救い、この世の未来を創った実直なノアとその一族。

そこに私は「日本の農業を未来に残す」という、この牧場の使命と重なるものを感じました。
それくらい日本の農業に危機感を抱いているのは事実ですし、たとえ小さな力でも、強くあるべき本来の農業のあり方を、私たちが次世代に伝えていきたいと本気で考えているのもまた事実です。ノアの方舟に因み、地名を入れてArk館ヶ森(当初は館ヶ森アーク牧場)と命名したのです。

上空から見た館ヶ森の農場
牧場のガーデンと建物

夫が描いたファームマーケット構想(*)の通り、多くの人々の憩いの場として、また農業や生命の学習の場として生き生きと活動しつつ、安心の食材・加工品を生産・提供しています。

私は農業の会社経営に携わりながら、母親という立場で家庭で四人の子供を育ててきました。ですので、やはり食事作りに大変関心があります。私と同様に子ども達に美味しくて栄養のある安心・安全な食べ物を食べさせて、健康に育ってほしいという願いは、どの母親も持っていることでしょう。私の願いはその素晴らしい母性としての慈しみを、すべての農業者と為政者に持ってもらいたいということです。
「食はいのち」。これを単なる言葉ではなく、実感として受けとめた時、日本の農業は大きく変われるはずです。
Ark館ヶ森はまだまだ小さな方舟ですが、多くの心ある方々との共感の輪を広げながら、未来に向かって力強く漕いで行きたいと思っています。

「Where there is a will, there is a way」 この言葉はアメリカの第16代大統領リンカーンの言葉ですが、意味は「意志あるところに道はできる」。私の座右の銘としていつも前に進む勇気を与えてくれる言葉です。
これからも、私たちは夢に向かって力強く進んで参ります。ご支援ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

取締役会長 橋本 志津

*ファームマーケット構想とは

ファーム(農場・畑・生産地)とマーケット(売り買いする場所・市場)を合体させるという考え方。
生産者は責任をもって生産販売し、消費者は採りたて・作り立ての農産物を楽しみながら買い、体験もすることができる。観光的な場所になり得、農業への理解も自然と深まることも目的とする。

書籍『食はいのち』表紙
書籍

食はいのち

なぜ、人里離れた牧場に
年間20万もの人々が集まるのか
生産者と消費者が顔を合わせ、
自然とともに生きる営みのなかに、
これからの食と社会の希望を見いだす一冊です。